世代によって学校で受けた体力テストは異なります。あなたが受けたテストはどちらですか?
①「スポーツテスト」と「新体力テスト」
日本では、国民の体力の現状を把握するために、毎年「体力・運動能力調査」が実施されています。この調査は前回の東京オリンピックが行われた1964(昭和39)年以来、毎年実施され、毎年、「スポーツの日」にあわせて結果が公表されています。
この調査は1964年~1998(平成10)年までは「スポーツテスト」を利用して、1999(平成11)年以降は「新体力テスト」を利用して実施されています
それではここで、それぞれのテスト項目の比較表を見てみましょう。
以前のスポーツテストは種目数が多かったことがわかりますね。
②なぜ体力テスト項目は変わったの?
体力テストの項目はなぜ変わっていったのでしょうか。これには、国民の体型の変化やスポーツ医・科学の進歩によるテストの妥当性への検証、高齢化の進展などが影響を与えました。
特に測定実施上の立場、あるいは学問的な見地から再校が指摘され、除外された項目については以下のような理由が挙げられています。
1.踏み台昇降運動
調査開始時比べて児童生徒の身長が大きく伸びて踏み台の高さが相対的に低く なったこと、所要時間の長さ、脈拍計測の誤差など。
2.背筋力
背筋力計による測定では必ずしも背筋力のみを測定できないこと、測定時の姿 勢や動作によって傷害が発生する可能性があることなど。
3.伏臥上体そらし
柔軟性をはかる項目だったが、測定値が背筋力に左右されるところが大きいこ と、測定時の姿 勢や動作によって傷害が発生する可能性があることなど。
4.斜め懸垂腕屈伸
測定時に正しい姿勢をとることが難しく、誤差が非常に大きいことなど。
5.立位体前屈
測定時の足場が床面より高いため、転倒事故を発生しやすいこと、反動をつけ た場合に、腰痛の引き金になることなど。
データの継続性をできるだけはかりつつ、実施のしやすさや危険度の低減などさまざまな検証のもとに、「新体力テスト」は誕生し、現在でも活用されています。
自分が学生時代に受けたテストはどちらでしたか?
職場や家庭などでの話のネタにしていただければ幸いです。
<参考文献>
●文部科学省「新体力テスト~有意義な活用のために~」,2000年