運動と免疫力

運動はすればするほど免疫力を強くするんでしょうか?

 

 

①適度な運動と免疫力

一般的に、運動をして身体を鍛えることは健康に良いとされています。
特に、汗を軽くかく程度の適度な運動をするのが週に1日未満である人に比べて、週に5日程度する人の方が、冬場の12週間中に風邪をひいていた日数が2/3程度短いという調査結果があります(注1)。
 
 
②激しい運動は免疫力を低下させる?

一般の人よりも激しい運動をするアスリートは、身体が強そう、もちろん免疫力も高そうというイメージを持つ人も多いかもしれません。
運動の前後で免疫力に影響する体内の抗体について調べた研究によって以下のようなことがわかっています(注2)。
 
〇最大酸素摂取量の50~60%程度の中等度の強度の運動
 運動中に免疫の指標となる数値は向上し、運動後には免疫の指標は元の状態に戻る。
〇最大酸素摂取量の80%を超えるような高強度の運動
 運動中に免疫の指標となる数値は向上するが、運動後には数時間から数日にわたって元の水準より低下して免疫機能が抑制される可能性がある。
 
このように、免疫力の維持・向上の観点からみると、激しい運動は逆効果の側面もあるので注意が必要です。
 
注1 (出典)Br J Sports Med.;45,987-92,2011
注2 (出典)Pedersen,et al.1998